ただのひとりごと(長いけど)

id:poietesさんのとこ見て納得した。橘さんって官僚体質なんだな…納得した。超納得した。


555を44話まで見た。感想は最後まで見てからまとめて書くとして。


“一年間の物語”を作るのって大変だよなぁと思った。




まぁまだ9本中4本、5本目の途中なのであんまり断定的に言うのもアレかなーとは思いつつ。


今まで見てきたものでなんとなく思うのは、平成ライダーの作劇法の土台として「対立軸を作る」っていうのがあるよねぇと。というかあらゆるジャンルの物語を作る上の基本でもあるのかもしれないけど。
結局一年間の物語を作るとなると、主人公にいろんな人・もの・ことが次々に押し寄せてそれらと向き合い戦っていくってことになるんだけど、その中で話の中心部分を見失わないために、主人公とそれに対立する存在を作っていくのが重要なのかなぁと。真司と蓮、巧と木場、剣崎と始、良太郎と侑斗、渡と音也、みたいな。要するに「ライバル」ってやつだ。


今の自分にとって一番わかりやすいので555の話をしますが、木場は常に巧の裏側なんだよな。巧の正体が出るまではわかりやすく“同じ信念を持った人間とオルフェノク”なわけで。*1それが巧がオルフェノクだとわかってからは二人の対立軸はその人間性…というか、偽善か偽悪か、ってことのみに絞られた感がある。そしたらそれに対して書き手側が危機感を覚えたのか何かしらんが結花が警察に襲われて怒りにまかせて人間を襲ってから人間不信まですごい早さで身変わりしただろあの人。個人的にはそこでもっと悩んでから闇落ちして欲しかったりしたんだけど、まぁとにかくその身変わりの結果今度は“信じることのできる者、できない者”みたいな軸になってきた感じがするわけです。おかげで木場はただの偽善者に成り下がってしまったわけですが…いや木場は最初から偽善者だけどさぁ、それでも主人公と同じ信念を持っていたから面白かったわけで、その信念をあっさり捨ててしまったら本当にただの偽善者だろうよ…と思うんだけどまぁこの辺はだから対立構造を作るためのとばっちりを木場が思いっきり食らった感があるよねぇと。
ついでに補足するまでもないけど初期の3人組も綺麗すぎるくらいの対立構造を作ってますよね。特に名作と名高い8話の、巧と木場それぞれの伝聞形式の台詞が見事だと思う。「夢を持つと、時々すっごく切なくて、時々すっごく熱くなる…らしいぜ」「夢ってのは呪いと同じなんだ。途中で挫折したものはずっと呪われたまま…らしい」とかね!3:3の関係を作るだけなら簡単だけど、そのキャラづけだったり伝聞形式の台詞だったり、このあたりの作り方は本当にすごいと思うんだ井上先生。


で、まぁ同じく井上先生の作品として、キバの作劇法って555にすごく似てると思うんだけど、何が良くなかったかって過去編と現代編がまったく別のドラマだったことだと思うんだ。いや二時代同時進行自体は面白いと思うんだけど。キバっていう作品で見たときの最大の対立軸はやっぱりそれぞれの主人公たる渡と音也なんだけど、ドラマとしてはそれぞれまったく違う話なんだよね。だからそこの絡みでドラマに動きが生まれない。特に過去編は音也と対になる存在が薄かったのがダメだったんじゃないかと。現代編の方は序盤は名護、後半は太牙がかなり明確なライバルポジションだったんだよね。そこらへんが結構はっきりしてたから現代編特に後半の怒涛の展開はすごい面白かったんだ。サブで名護とビショップっていうライバル関係もあったし。一方で過去編は途中までは次狼がいたし、役者さんのお芝居の感度も高かったみたいだから面白かったんだけど。次狼があんまり出なくなってからキングが出るまでが遅すぎたんだよねー。その間過去編で一番大きい対立軸がどこだったかってゆりと真夜だから、話が女性関係中心に回っていくのはある意味当然。別に女性の話で進むのが悪いとは言わないけど、音也に対して誰なのかがはっきりしないと一年通しての話の軸が見えなくなるんだよなぁ。まぁ、現代編も現代編で軸が変わるってことは前半と後半で話が変わってきてるわけですけどねー。
まぁでも前半にも面白い話はあったと思うわけで、個人的には公式読本で結構触れられてた9・10話がすっごく好きなんですが。これもさぁ大村さんを通して渡と音也をきっちり描いてるからだと思うのね。同じファンガイアを出すだけじゃなくて、それを通じて二人の精神性…作品的に言えば魂か…の違いと共通点が綺麗に出た話だと思うんだな。あとは17・18話とかもね。ついでに言うなら終盤のタイムスリップ話も、作品的には一番やっちゃいけないことだろうという感はあるにせよ、“渡と音也の話”としてはやっぱ直接絡むから面白いよねー、と。あれ私は「それ反則だろうが!」って思いが強かったから微妙なんだけど、多少感想見て回った限りでは結構評判良かった気がするし。劇場版の面白さもその辺が大きいんじゃないのかなー。


あと電王は、良太郎と侑斗と書いてはみたけど結構良太郎とモモタロスって面もあるとは思う。つーか、話自体は良太郎と侑斗または桜井さんで進むけど、良太郎の心情としてはモモタロスを筆頭としたイマジンズとの関係が大きい感じはするかな。一応終盤は“守るものと壊すもの”でカイがいるにはいるけどねぇ。
とはいえ電王はあんまり整理しきれてないというか、たぶん色々見た今、過去作品を踏まえて見たらまた違うものが出てきそうではある。ただ見てたときの印象として良太郎は“中庸”っていうイメージが結構あるしなーどうなんだろうなー。あと良太郎は成長しない主人公ってことらしいので、他の作品のような対立しながら成長していく構図と同じ読み解き方ではダメなのかもしれない。大体、まだ終わってねーしな。はっはっはー。


剣はまぁ剣崎と始、橘さんと睦月って話は本編の感想文にもちょっと書いたからまぁいいか。剣は前半と後半でメインライターが変わってる割には最終的にあの軸に持って行くための種は撒いてはあるんだよね。ただ始と睦月の描き方をもうちょっとなんとかすれば睦月はもう少し報われたと思うんだが…まぁ睦月に関しては後半の會川先生のペース配分の問d…というかレンゲルの玩具…ゲフゲフなんでもない。
うん、でも私の中では今のところ剣が一番好きだよ。さっきからしつこく言ってる対立軸の作り方としても、濃淡の差はあれど4ライダーそれぞれに軸があるし。つっても対立軸の作り方としては555の方が上手ではあるんだけど、剣はその軸に加えてパワーアップのカタルシスがあるところが好き。てかどっかで剣は少年漫画的っていう評を聞いたことがあるんだけど、確かに戦う度に(カードを手に入れて)強くなって行くっていうのはまぁ多少即物的ではあるけど、わかりやすい少年漫画的構図にはなるのかな。*2だからそうやって、敵を倒すことで新しい力を集めた結果のパワーアップフォームってところがカッコイイよなぁと思うのね。平成ライダーのパワーアップアイテムの入手方法はまぁ〜、色々物議を醸すものがたくさんありましたし?*3剣もアブゾーバー自体は「…おいっ」って話なのよね。宅配便とかさぁwでもJフォーム・KフォームになるためにはJ・Q・Kを戦って倒すことが大前提だからさ。特にブレイドKフォームのカッコよさってあのデザインや必殺技のエフェクトなんかもさることながら、コーカサス撃破→エボリューションキング!→13体同時融合!っていうそれまでの流れと、その上で全部の力を結集してるっていうのも含んでる気がする。コーカサス撃破自体もだいぶ熱い展開だったしね!あと私4カードが大好きなんだが、アレもティターン対策での共闘があって、さらにあそこで全員が剣崎にそれぞれの力を託すっていうのがマジ熱いし。ドラマとしては「…は?」ってところは確かに結構あったけど。1話で壊滅から危ないところを所長に助けられたまで。あとブレイド・カリスに比べてギャレンJフォームがちょっと適当なのが気になるけど。それでも一年通して4ライダーから軸をぶらさず、さらに要所要所で熱い展開がガンガン入ってくる、全体のまとまりと局所的な引き込みのバランス感覚はすごい良いと思う。555もまぁラスト次第で評価変わるかも知れないけどたぶんそこらへんのパワーアップのカタルシスって面で敵わない気がするわ。あとは聞きかじった情報から判断するに、クウガかアギトでピンと来るかどうかだなー。








あとこれは余談だけど。
対立関係を作るってことは、主人公と対等・同等の力を持つ、あるいは同じ信念を持つ、同じ魂を共有する…的なことになるわけですが、まぁこれって腐女子がいっちばん食いつきやすいパターンだと思うのです。個人的な経験からするとね。王道にしやすいっつーか。腐女子漫画大全で使われてた例は確かLと月だったけど。あぁいうの。巧と木場にしろ剣崎と始にしろ、かなりはちまるいち関係にしやすいよなぁと…思うんですが…特に剣崎の最終回での「触れ合うこともない」ってクソ余計なひと言だと思うんですがーってそう考える私の思考回路が一番腐ってますよね。でも會川先生って結構な腐女子ホイホイ技能持ってると思うんだ。あと電王がやたら腐女子が食いついたのって声優さんもあると思うけど、主人公に対して明確な対立関係のものがいないくて妄想の余地が大きいとか、イマジンのキャラが立ってるからある意味全部対立関係・対照関係を作れるっていうのもあるんじゃないかなーとか今思った。つーかここまで色々書いたのにここで全部台なしだな。だが私はあやまr(ry

*1:草加は“相容れることのできない人間同士”ってこれもこれでまた別の対立軸を作ってると思うんだけど、ね。

*2:あと「友情・努力・勝利」を結構地でいってると言われればそんな気もするし。努力描写が若干薄いというかオカシイところもまぁ近年のジャンプ漫画らしくはあるしw

*3:申し訳ないけどカイザは笑った。アクセルもフォーム自体は好きだけど意味わかんないよね