風が強く吹いている

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久しぶりに新作の劇場公開作品を公開週に見たよっと。


以下ネタバレ自重しないよ


CMとか、チラホラ見かける予告映像での主役ふたりがものすごく印象的で、なんかちょうど文化の日だったし映画見たいなーって気分だったこともあって“陸上のはなし”ってこと以外なんの前情報も無しで見に行ったのね。まぁ本のタイトルも、舞台化されてたような気がするってこともなんとなく覚えてはいたんだけど、原作って誰だっけかなぁレベルだった。ほんとキャストだけw


で、ひとことで言ってしまえばすごく良かったです。

もーさ、やっぱり主役ふたりがすごいね!ほんと林くんのあの煌めき力ってマジ奇跡だな。DIVE!!の知季のキャッチフレーズだけどさ、まさに「ダイヤモンドの瞳」。映画化するって聞いたときにこのフレーズが似合う子ってこの子しかいないんだろうなぁと妙に納得したことを思い出す。ほんと、こんな恥ずかしいフレーズが恐ろしいくらいにしっくりくる。まぁ結局あの映画版は見てないけどねーそのうちまた思いだしたら見る。とにかくもう才能に溢れてバカみたいにまっすぐにキラキラしてる子がどうしてこんなにハマるんだろうかこの子は。わけわからん。というわけで今週から小公女セイラでも見ようと思う。
そして小出くん。彼の力がこの作品を支えてると思います。もうねこの人がすごいのは知ってんだよ。なんかさ、素の話し方とか見てるとなんかちょっと冷たいようなところというか、出来る子独特の、その場にいるのに時々遠くから自分の立ち位置をを探るようなスタンスっていうのかな。私にとって一番身近なそれは二宮なんだけどさ。なんかそういうのがちょっと出やすい子なんかなーとか思ってて。んでも芝居のスイッチが入るとそういうと気配をキレイに消した、キレイなお芝居する子だよなぁ、みたいな印象があって。あーいやたまにドSっつーか悪っぽい役やるとそれはそれで超絶萌えるのですがw*1うん、なんかねまずハイジって役の、いやらしいくらいに周到で少しシニカルなところが私の抱く小出くんのそんなようなイメージに重なってくるのね。そして何より言葉がキレイ。なんかこの作品って台詞が不自然なんだよ、全体に。日常会話の言葉じゃない。小説の言葉なのさ。林くんとかエレナちゃんとかはその辺で若干ひっかかっちゃったようなところもあったんだけど、この人の発する台詞って言葉自体はすごくガチガチの小説の言葉のくせに、声に出されると映画の台詞になって淀みなく耳に流れ込んでくるのね。この人の言葉、台詞やモノローグがハイジとして、この映画の中の言葉としてすごくしっかりしているからあの作品世界が成立してたんじゃないかと思う。最高の朝だなんてさ、んなもん誇張を伴う小説あるいは舞台の上のものであって、等身大を捕えようとするスクリーン上で言う言葉じゃないよ普通は。なのにあんなにキレイで自然だなんて、ほんとありえない。


お話の内容としてはそれこそバッテリーとかDIVEとか私が中学校くらいの頃によく読んでいたような、ひとりの天才少年と彼を取り巻く人々で展開してゆく、私にとってはよくあるはなし。だからきっと原作ではもっと細かく書き込んでるんだろうなぁってところもちりばめられた台詞とか描写でなんとなく補完できるし、2時間ちょっとで10人を描く映画としてはその程度できっと十分なんだと思う。というか、キャストの子のハマり具合と表現を思えば十分以上に描けてたんじゃないかな。もしかしたら原作を知ってる人は全然違う、そんなに浅くないって言うのかもしれないけど、彼らの抱えるちょっと癖があるけど根っこのところはすごくベタなものを、基本的には“走ること”と“食べること”で的確に表現して、箱根できちんと昇華してるんだもん。“神童”と呼ばれた凡人の話も、ほんっとーにベタなのはわかってるのに息が詰まった。お母さんの声っていつの時代も反則だよなぁ。まぁあのシーンは個人的にそういう言葉に郷愁を覚えることのない育ちだから余計かもしらんwある種の羨望。でも神童はあの場で走りきった時点でもう凡人なんかじゃないよね。みんなそれを分かってるからやっぱりあのシーンは効くよなぁ。
あと私はユキが素敵だと思います。ほんとあぁいう屈折をした子って大好きwでもユキのいいところは頭良くて神経質で毒舌でプライドも高いくせにやっぱりあのアオタケのあったかさを愛していて、しかも自分のそういう完璧ではないところもハイジやカケルには叶わないようなところも分かってきちんと認めてあげつつもプライドは捨ててないところだと思います。あとキーキー言いつつ画面の隅っこでいつもニコチャン先輩に付き合ってあげてんのがすげぇかわいいwキレイ好きでなければ結婚したいけどどうせ無駄にキレイ好きなんだろうなぁ…w
そして一番の見せ所とでも言うべき「走る」シーンはやっぱりすさまじく美しかった。てかそれこそ予告の時点でわかってたけどさ!
私自身は長距離走にはあんまり思い入れはないけど、でもうちは父親が大学まで陸上やってたからか、居間で陸上番組見てることは昔から結構多かったのね。父親自身は短距離の選手だったっぽいけど、でもマラソンも陸上もしょっちゅう見てた、今もごはん食べる時とかすることない時は結構一緒に見てるし。箱根もなんだかんだ毎年見てるから、データ的なこととかは全然頭に入ってないけど、各中継所の光景とか箱根の山の道とか、あぁ見たことある!知ってる!って思うレベルではあったし。
まぁその程度の目を持ってる私から見ても、誰の走りもびっくりするくらいほんもので美しかったという話です。すごいとしかいいようがない。てか良い役者さんの条件のひとつに“自分の身体を使いこなせる”ってのがあると思うんだけど。彼らみたいにトレーニングで身体を鍛えて、心もそれに合わせて作っていくと、その身体と心とお芝居上の表現とがまっすぐなラインでぴったり繋がる瞬間が生まれるんだろうなぁと思った。うん何言ってるのかよくわかんねwあーでもひとつ断言したい。疾走する林遣都の美しさは早急に文化財かなんかに指定して保護すべき。だからなんだあの奇跡。なにあれ三次元で存在してるの?(してます)


なんかちょっと褒めすぎた感があるけどwまぁあれだな細かいこと言うと箱根なのに沿道が緑なのが気になるけどね!そもそものあの展開は上手くいきすぎかもしれないけどきっとそういうところで我にかえっちゃいけないものなんだと思う。実際に箱根を目指した人や、出たことのある人がとう思うかはわからないけれど。

そしてクレジット見てあーこれしをんかよ、と。どうりで…ほんとうにあの人はしれっとした顔で腐女子回路をせっつくのがお上手ですね^^あの10人の仲間に入れないハナちゃんは私たちそのものだろう。

*1:MWとかw