青いインクで書かれた美しい文字

瞳の奥をのぞかせて

瞳の奥をのぞかせて

レンタルで色々とさらってきたんですが、これがものすごく好きで困った…どうしよう…いやどうもしないんだけどさ。
「宿命」の曲だよね。なんとなくタイミング合わなくて見てなかったんだけど、一回ちらっと見た時は北村さんが可愛く見えてびっくりしたなそういや…


以下私見でごちゃごちゃーと



ポルノさんたちはデビュー以来出るものはなんとなく聞き続けてる感じではあるんだけど、現場に足を運んだりするようなアレではないです。いやでも好きだよ。アキヒトさんの声ももちろん好きだけど、やっぱハルイチさんの詞にいつも感嘆してしまう。なんかさ、感情の話をするのに挟む写実とか比喩とか、具体的なモノのイメージの引き方がものすごく上手いと思うの。今回なんか特にそれが凄いと思うんだけど。出だしとか。“空のワイングラス”ってさ、なんで空かって、甘い時間は消えてなくなってしまっているからだよね。“千切られた紙切れ”がただの紙切れじゃなくて千切られてるのは、無理矢理引き裂かれてるからだよね。“青いインク”ってきっと万年筆のインクで、破れた紙に書かれたそれはいくら美しくても取り繕ってるだけなんだよね。…いやほんとハルイチさんの人となりとか全っ然知らんから、どこまで計算してやってるのかはわかんないけど。ただ歌詞ってどうしても文字の数に制限があるから、その中で風景とかモノを描くのって難しいと思うし。描くなら意味を込めた方がいいに決まってるし。で実際ちゃんと意味があると読めるモノが描かれてるのが上手いなぁと思うのですよ。しかもこの描写を提示した上で“ふたりで夜に漕ぎ出しても”って、割と分かりやすい比喩に落として、さらにサビにかけて“どうしようもないほど憎くなる”って、どんどん直接的になってく流れがたまらん。暗喩から直喩へ抜ける流れ。あと歌って口に出す言葉としても良いというか、“美しい”って言葉の響きがうつくしいことなんかすっかり忘れてたよね、って。そこはアキヒトさんさすがやなぁってとこなのかな。もともと日本語を歌わせると映える人って印象はありますが。

そもそもこの人たちのデビューって、「アポロ」なんだもんねぇ…あれだってアポロ11号って進歩してんだかしてないんだかよくわかんない人間の象徴として引っ張ってる具体例だし。…あの曲は月面到達を“ずっとずっと前”って言っちゃう世代感だったり*1G-SHOCKとか出始めのネットやメールを想起させる、あの頃の最先端感とかいろいろひっくるめて呑み込んでる上に、全体から滲む皮肉っぽいスタンスだってあの時代、99年9月っつー時期の世紀末な空気をかなり的確に突いてる感じでこれでデビューとかマジすごいなと思うんですけどwというかだからこそ当時あんな売れ方したんだろうなぁ。最近だとあと「今宵、月が見えずとも」で“グーグル検索”*2とか引っ張ってきたのはおお〜と思ったというか。感覚としては似た感じで気に入ってる。またこれが巧いのはさ、この“検索”って最後の大サビの“何もかもを知った顔して 何もできない自分隠して”に掛かってくんだよね。だから“嫌にもなるさ 自分自身 その正体”…こういう歌詞の流れというか構成としてはすごい巧く作ってある曲だよね。全体の構成は「瞳の〜」より巧いかも。「瞳の〜」は入りからサビまでは綺麗なんだけど、最初のサビから最後の大サビまでで言ってることはあんま変わらないし。まぁそれが良いと言えば良い気もしてますけど。

…なんの話してたのかよくわからなくなったけどまぁいいや。個人的に音の感触としては悪くないのに今一つ「アニマロッサ」がピンと来ないのは、アキヒトさんの詞はどうにもストレートすぎるからかも知れないねー。“青いインク”とか“グーグル検索”みたいにちょっと引っ掛かるような表現が無いのが物足りないのかも。「うたかた」なんかは割合好きですけど、っていうか、あれは名曲だねふつうにね。


余談。年末に高校生の従妹と紅白見ながら喋ってたときに、ポルノが昔3人だったことにびっくりされてこっちがびっくりした…そんな世代か!

*1:当時なんかの雑誌か新聞かで、「30代以上をまったく相手にしていない曲」とか言われてたの覚えてるw

*2:あれきっと正確にはGoogle Earthのことなんだろうけど